毎日使う蛇口から、静かにしかし確実に水がポタポタと漏れている。最初は気にならない程度の水滴でも、時間が経つにつれてその量が増えたり、水道代への影響を考えたりすると、放置できない問題だと気づかされるものです。蛇口のポタポタ水漏れには、いくつかの典型的な原因があります。最も一般的なのは、蛇口内部の部品の劣化です。特に「コマパッキン」や「Oリング」と呼ばれるゴム製の部品は、長年の使用や水質の影響で劣化し、弾力性を失うことで水漏れを引き起こします。単水栓(お湯または水のみが出る蛇口)の場合、ハンドルを閉めても水が止まらないのは、ほとんどがこのコマパッキンの劣化が原因です。コマパッキンは、水栓の根元にある「グランドナット」や「スピンドル」といった部品の奥に収まっており、ハンドルを閉めることでこのパッキンが水の流れをせき止める仕組みになっています。パッキンが硬くなったり、ひび割れたりすると、わずかな隙間から水が漏れ出してしまいます。このタイプの水漏れは、比較的簡単に自分で修理することが可能です。適切なサイズのコマパッキンと、モンキーレンチやドライバーといった基本的な工具があれば、手順通りに進めば30分程度で作業を終えることができるでしょう。一方、混合栓(一つの蛇口からお湯と水が出るタイプ)の場合、水漏れの原因は少し複雑になることがあります。一般的なシングルレバー混合栓では、温度や水量調節を一つの「カートリッジ」で行っています。このカートリッジ内部に組み込まれたパッキンやセラミックディスクが劣化すると、レバーを閉めても水が止まらなくなったり、吐水口からポタポタと水が漏れたりします。カートリッジの交換はコマパッキンの交換よりも難易度が高く、部品の種類も多岐にわたるため、DIYでの修理に自信がない場合は専門業者に相談することをおすすめします。蛇口本体の緩みや、給水管との接続部分からの水漏れも考えられます。これらの原因は、目視で確認できることも多いので、まずは蛇口の全体を注意深く観察してみましょう。ポタポタという小さな水漏れも、長い目で見れば無視できない水量となり、無駄な水道料金を支払うことになります。早めの原因特定と適切な対処が、快適な水回り環境を保つ秘訣です。