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ゴミ屋敷相続の放棄は待った!ゴミに埋もれた財産調査
親が亡くなり、相続した実家がゴミ屋敷だった。その衝撃と絶望感から、多くの人が「こんな負債はいらない」と、即座に「相続放棄」を考えてしまうのも無理はありません。しかし、その決断は、あまりにも早計かもしれません。なぜなら、そのゴミの山の中には、片付け費用というマイナスの財産を補って余りある、プラスの財産が眠っている可能性があるからです。安易な相続放棄で後悔しないためにも、まずは冷静に「財産調査」を行うことが極めて重要です。ただし、この財産調査には、絶対に守らなければならないルールがあります。それは、「法定単純承認」とみなされる行為を避けることです。具体的には、故人の財産を勝手に処分したり、売却したり、形見分けとして持ち出したりする行為です。これらの行為は、相続する意思があるとみなされ、後から相続放棄ができなくなってしまいます。あくまで「調査」に徹し、モノを動かすのは最小限に留めなければなりません。では、ゴミの山から何を探し出せばよいのでしょうか。調査すべき最重要アイテムは、故人の資産状況がわかる書類です。まず探すべきは「預金通帳」や「キャッシュカード」、そして銀行や証券会社、保険会社からの「郵便物」です。これらは、故人の金融資産の有無を知る上で直接的な手がかりとなります。次に、「不動産の権利証(登記済証または登記識別情報通知)」です。実家以外にも、故人が所有していた土地やアパートがないかを確認できます。さらに、現金そのものが封筒や缶の中に隠されていたり、タンスの奥から貴金属やブランド品、価値のある骨董品などが出てきたりするケースも少なくありません。とはいえ、衛生状態の悪いゴミ屋敷の中から、これらのものを自力で探し出すのは、精神的にも肉体的にも非常に困難です。また、法的なリスクも伴います。したがって、最も安全で確実な方法は、まず弁護士や司法書士といった相続の専門家に相談することです。その上で、遺品整理と財産調査の経験が豊富な専門業者に依頼し、法的なアドバイスを受けながら調査を進めるのが賢明です。ゴミの見た目に惑わされず、冷静な調査を行うこと。それが、後悔のない相続の第一歩です。
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隣がゴミ屋敷!行政を動かすための被害状況調査と証拠集め
隣の家から漂う悪臭、夏場に大量発生する害虫、そしていつ起きるかもしれない火事への恐怖。隣家がゴミ屋敷であることによるストレスと被害は、経験した者でなければ分からないほど深刻です。直接注意しても改善されず、途方に暮れている方も多いでしょう。しかし、泣き寝入りする必要はありません。行政や法的な手続きによって問題を解決するためには、感情的な訴えではなく、「客観的な証拠」に基づいた被害状況の調査が不可欠です。この地道な調査こそが、あなたの平穏な生活を取り戻すための最も強力な武器となります。なぜ調査と記録が必要なのか。それは、行政や裁判所といった第三者を動かすためには、「いつ、どこで、どのような被害が、どの程度発生しているか」を具体的に示す必要があるからです。「臭くて困る」という主観的な訴えだけでは、なかなか動いてはくれません。そこで、今日からでも始められる調査と証拠集めの方法を具体的にご紹介します。まず、専用のノートを1冊用意し、「被害記録ノート」を作成しましょう。記録すべき項目は、①日付・時間、②天候(風向きなど)、③具体的な被害内容です。例えば、「〇月〇日午後2時、南風。窓を開けると生ゴミが腐ったような強い臭いが室内まで入ってきた」「〇月〇日夜、台所の窓にゴキブリを5匹発見。隣家との境界の壁から侵入している模様」といった具合に、5W1Hを意識して詳細に記録します。次に、スマートフォンなどを活用し、写真や動画で証拠を撮影します。その際、プライバシー侵害とならないよう、あくまで自分の敷地内から、隣家のゴミが越境している様子や、害虫が自分の家の壁にいる様子などを撮影しましょう。可能であれば、写真に日付が表示される設定にしておくと、より証拠能力が高まります。さらに、可能であれば、他の近隣住民にも協力を仰ぎ、複数の世帯で同様の記録を取ることも有効です。これらの客観的な証拠を持って行政の窓口に相談すれば、担当者も事態の深刻さを理解し、より迅速で具体的な対応を検討せざるを得なくなります。地道な調査は骨が折れますが、その努力が、解決への道を切り拓くのです。