隣の家から漂う悪臭、夏場に大量発生する害虫、そしていつ起きるかもしれない火事への恐怖。隣家がゴミ屋敷であることによるストレスと被害は、経験した者でなければ分からないほど深刻です。直接注意しても改善されず、途方に暮れている方も多いでしょう。しかし、泣き寝入りする必要はありません。行政や法的な手続きによって問題を解決するためには、感情的な訴えではなく、「客観的な証拠」に基づいた被害状況の調査が不可欠です。この地道な調査こそが、あなたの平穏な生活を取り戻すための最も強力な武器となります。なぜ調査と記録が必要なのか。それは、行政や裁判所といった第三者を動かすためには、「いつ、どこで、どのような被害が、どの程度発生しているか」を具体的に示す必要があるからです。「臭くて困る」という主観的な訴えだけでは、なかなか動いてはくれません。そこで、今日からでも始められる調査と証拠集めの方法を具体的にご紹介します。まず、専用のノートを1冊用意し、「被害記録ノート」を作成しましょう。記録すべき項目は、①日付・時間、②天候(風向きなど)、③具体的な被害内容です。例えば、「〇月〇日午後2時、南風。窓を開けると生ゴミが腐ったような強い臭いが室内まで入ってきた」「〇月〇日夜、台所の窓にゴキブリを5匹発見。隣家との境界の壁から侵入している模様」といった具合に、5W1Hを意識して詳細に記録します。次に、スマートフォンなどを活用し、写真や動画で証拠を撮影します。その際、プライバシー侵害とならないよう、あくまで自分の敷地内から、隣家のゴミが越境している様子や、害虫が自分の家の壁にいる様子などを撮影しましょう。可能であれば、写真に日付が表示される設定にしておくと、より証拠能力が高まります。さらに、可能であれば、他の近隣住民にも協力を仰ぎ、複数の世帯で同様の記録を取ることも有効です。これらの客観的な証拠を持って行政の窓口に相談すれば、担当者も事態の深刻さを理解し、より迅速で具体的な対応を検討せざるを得なくなります。地道な調査は骨が折れますが、その努力が、解決への道を切り拓くのです。
隣がゴミ屋敷!行政を動かすための被害状況調査と証拠集め